2020.12.21繊研新聞に掲載されました
「毛芯無しでボリュームあるラペルロール」
デザイナーブランドのODM主体のサンエースは、毛芯無しでボリュームのあるラペルロールを作る縫製技術「ツィステッドラペル」を開発した。モデリストで「現代の名工」にも選出された稲荷田征氏との共同開発で、現在実用新案を申請中。
従来のジャケットやコートでは、保形性とボリューム感のあるラペルを作る為に、緯糸に馬の毛を使った本バス芯を使ったり、殺し込みや伸ばしといったアイロン操作、職人によるレベルの高いいせ込み技術で立体成形を行うケースが多かった。時間と技術力、コストでの負担が大きかった。
今回開発した技法では、ラペルのロールが出来る返り止まり部分で縫合線が表から裏、裏から表にねじれるように縫製した。それにより反発が発生し、ラペルロールに自然とボリュームが出るようになった。「洗濯後も柔らかなラペルロールが維持される」とする。毛芯を使わない分、ラペル自体はすっきりとするメリットもある。
毛芯仕様に不向きと言われているニットジャケットや伸度の少ない綿や合繊、薄い素材を使ったジャケット、コートでの活用が期待できる。
主販路とするデザイナーブランドへのODMをはじめ、カジュアルやスポーツ向け商材、ブランドからの需要が見込め、「既に話もきている」という。想定価格はジャケットやコートで5万~10万円。
縫製にコツがいることから、物作りは関連会社の縫製工場、サンワークで行い、品質の安定を図る。