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縫製のうまさで一番目指す 繊研新聞 2015.1.1

2016/05/14

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革新性と先見性で変わる生産現場

同じ縫製でも、専門技術を伴った労働と単純労働に分かれるという。一般的に縫製工場は、価格競争に対応するため、生産アイテムを専業化するなどで生産効率を高めてきた。縫製手順を一定にすることで、工員は同じ作業を繰り返す工程を担って、品質を安定させる。これは単純労働でもある。だが、単純労働では日本で生き残ることができない。生活費も人件費も海外とベースが異なるからだ。

 

縫製のうまさで一番目指す

アパレルメーカーのサンエースがメード・イン・オンリー・ジャパンの物作りに挑戦するために、2年半前に立ち上げた縫製工場がサンワーク(岐阜市)だ。納期が早いか、工賃が安いか、何かで1番にならないと生き残りが難しいが、目指すのは、技術者の養成と特殊ミシンの複合化による縫製の「うまさ」で1番になることだ。

サンワークが言う技術者とは、丸縫いができ、1人でサンプルが縫える技術を持っていることを指す。現在、21人いる従業員の大多数が丸縫いができる力を持っている。そして、約90台ある布帛用、カットソー用ミシンなど特殊ミシンを使って、デザイナーなどの要望に応えて、布帛とニットを複合したようなアイテムでも生産する。技術力が向上してきたことで、ミスなどによる直しが大幅に減り、生産性が改善、3年目で黒字化した。

 

新しい物生み出す工場へ

課題は技術を継承する30~40代の日本人技術者がいないことだ。今いる日本人技術者は高齢化し、工場で技術力を持っている中心は、中国人の技能実習生だ。実習生と呼ばれているが実際には「中国人は技術者。中国人だから安く使えるという発想は終わった」(浅野勝三サンエース専務)と指摘する。だが、研修生も日本で働ける期間は3年間しかない。

サンワークでは来春、日本人技術者の養成を目的に、3人を採用する。会社としては、育成に時間がかかるため、投資になる。それでも長期に雇用できる日本人技術者を計画的に増やしていかないと、技術の蓄積ができなくなる危機感があるからだ。

「デザイナーがわくわくしてデザインしたものを採算ベースに乗せて供給できる工場でありたい」と浅野専務。ファッションとは、新しいものを生み出すものだという強い思いがあるからだ。生産効率とは相反するケースも多いが、「そこにこそ勝機が出てくる」と強調する。

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