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2017.6.13 中日新聞掲載

2017/06/30

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「まず縫える技術が大事。服作りのアイデアはその先に出てくる」

 

岐阜市のアパレル製造会社「サンエース」の縫製工場。生産技術部長の田中良平さんが滑らかにミシンを走らせながら、服作りのコツを話す。愛知や福井県出身の四人の若者は、田中さんの細やかな手つきに目を凝らしながら、真剣にメモを取っていた。

四人は専門学校で服飾デザインなどを学び、この春入社したばかり。ミシンは踏めるが、商品を縫い上げる戦力になるには、まだ時間がかかる。会社が当面の不採算を覚悟で、新人採用を増やしているのは、業界を支えてきた高度な技術力が急速に失われつつある危機感の表れだ。

長らく、縫製工場の主力は中国人の技能実習生だった。三年ごとに中国へ足を運べば、腕のいい人を選抜して安定的に採用ができた。一方、指導役の日本人は高齢化が進む。浅野勝三専務は「技術者の中心世代はもう七十代。技術伝承は、あと五年が勝負だ」と焦りを隠さない。

 

今、日本人の若手を一から育てる余裕のある縫製会社はほとんどない。アパレルの一大産地の足元では、いつしか海外からやってくる実習生への依存が深まっていた。

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