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2021年7月15日 中日新聞に掲載されました

2021/07/31

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新聞

 

縫製業のレベル上げを

 

服飾製造「サンエース」が自社で開発した仕立ての新技術を同業者に公開し、型紙の作り方も教えている。ジャケットの襟の折り返し部分をふわりと立体的に立ち上げる高度な技術。海外勢に押され、苦境に立つ地場産業にコロナ禍が追い打ちをかける現状。そんな時代だからこそ、「損得は考えていない」と地場産業の復活を願う。

 

サンエースが開発した技法「ツイステッド ラペル」。通常は襟の縁に縫い合わせ部分があり、四枚分の布が重なるため、ウールなど厚手の生地を使う場合に縁が膨れてします課題があった。そこで同社は、縁で縫い合わせず、生地を折り込み、下襟の裏側で縫い合わせた。見た目がすっきりし、下襟の折り返し部分が立ち上がり、「色気のある服が仕立てやすくなった」今年1月、特許庁の「実用新案」に登録された。

 

普通、独自技術は自社の利益の為に公開しない。しかし、岐阜の繊維業は近年、人件費の安い海外製に押され、苦境が続く。さらに、新型コロナウイルスの感染が拡大し、服が売れなくなったことで、関連企業の業績も落ち込む。そのような中で「新しいことに挑戦しないと先が見えてこない」と、技術の公開に踏み切った。

 

アイデアのきっかけは、県既製服縫製工業組合が昨年開催した技術者の育成講座だった。講座の講師を務めた文化ファッション大学院大の稲荷田征名誉教授と、襟が膨れてしまう課題を検討する中で生まれた。

 

このような経緯もあり、今年6月に開講した育成講座で、技術を伝え始めた。文化学園大の元講師伊崎晴子さんが型紙の製図を教え、稲荷田さんが縫製を指導。県内の縫製会社の技術者8人が学ぶ。

 

14日には伊崎さんが製図法を実演。伊崎さんも「初めて」という独自技術の型紙は複雑で、参加者からも「難しい」という声が上がった。11月に予定する最終回でジャケット1着を完成させる。

 

サンエースが認めた企業がこの手法で仕立てることで、岐阜の縫製技術のレベルを上げることが狙いだ。

「単なる縫製という下請けから脱却し、新デザインの考案にも役立つ技術を編み出し続けたい」

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